最古の英雄にして王である「ギルガメシュ」
彼と日本の神「スサノオ」が活躍する神話に
共通点があることをご存知だろうか?
古代ウルクの王とスサノオの関係について調べてみた。
■最古の英雄ギルガメシュ
オタク界隈で絶大な人気を持つ
TYPE-MOONが展開するFateシリーズは
魔術師達が万能の釜である「聖杯」を得るため
それぞれ七騎の英霊を呼び出して戦うストーリー。
現在はそのアニメ版
「Fate/stay night[Unlimited Blade Works]」
がクオリティも高く話題になっています。
私も同シリーズのファンで最初のアニメ化から
存在を知ったのですが当時新参ファンだった
私も今では古参ファンの部類にいます。
神話や民族学に詳しいとより楽しめる作品で
興味のある方は一度視聴してみては?
――閑話休題
そのFateにおいて登場し英雄の中でも最強と呼ばれる
「英雄王ギルガメッシュ」。元ネタは
「ギルガメシュ叙事詩」に登場する王
「ギルガメシュ」
彼は紀元前2600年頃のウルクに実在した王
であったとみなされています。王の没後、
ギルガメシュは神格化され数々の英雄的行為が
シュメール語で伝承されました。
その彼の物語がまとめられた「ギルガメシュ叙事詩」は
新シュメール時代の紀元前3000年期末には
成立していたとみなされています。
今回は古バビロニア版から約900年後に作成された
現代ギルガメシュ叙事詩としてもっとも
広く知られている標準版ギルガメシュ叙事詩
について語っていきます。
■叙事詩が伝えているモノ
ギルガメシュ叙事詩は最古の王ギルガメシュの
英雄的逸話をまとめたものなのだから
偉大な王の姿を伝えているのは当然です。
ですがそれと同時に今を生きる私たちへの「警鐘」
ともいえるメッセージを語り続けています。
それは叙事詩の主題である森の神の打倒に見られます。
フンババと天牛の打倒。栄光の果てに友を失う
ギルガメシュとその友エンキドゥは
共に森の神「フンババ」を倒し森を切り開いた。
ギルガメシュは香柏を5回に渡って伐採し
エンキドゥは木株を掘り出した。
その後大地母神イシュタルがギルガメシュに
言い寄るがその申し出を彼はそっけなく断る。
それに怒ったイシュタルはアヌ神に頼んで
天牛をギルガメシュとエンキドゥを倒すため送り込む。
善戦むなしく結局天牛も打ち取られてしまう。
しかしフンババと天牛を倒してしまったが故に
エンキドゥは神々によって病に倒れる運命に。
そして太陽が昇り始めたとき
彼は永遠の眠りについた。
ギルガメシュは友との別れに嘆き悲しみ
限りある生命の謎を解き明かす長い旅に出る。
自然破壊に対する警鐘
このようにギルガメシュ叙事詩は
大地母神や神々の使いである天牛やフンババを
倒したことに対する神々のしっぺ返しを
強く意識させる物語の構成となっています。
森の神を打倒するということはそのまま
森林の破壊を意味しています。
古代は現代よりも森林豊かであったことは
間違いありませんがそれでも森林破壊は
深刻な問題でした。
どのような資源にも限りがあるように
森林資源にも当然限りがあります。
古代の人々は森林資源の有無こそが
国の命運を左右する最も重要な課題であると
既に知っていた、という事です。
資源の問題は近年になって取り沙汰された
印象がありますがそれは大きな間違いです。
自然破壊とそれによる資源の枯渇。
ギルガメシュ叙事詩は現代に至るまで
我々人類が直面している問題の重要性を
遥か古代の時代より叙事詩というカタチで
伝え続けているのです。それは我々一人一人が
肝に銘じていかなくてはいけませんね。
■スサノオ神話との関係
日本神話でも特に有名な
スサノオによるヤマタノオロチ退治。。
これはギルガメシュのフンババ退治と
同じタイプのストーリーです。
それは元々存在した自然の化身である
フンババやヤマタノオロチを
新たな技術を使用した神(英雄)が
打倒する、という形式の事。
上で同じタイプの神話といいましたが
つまりスサノオはギルガメシュと
同様の役割を与えられてるということです。
古い神と新しい神との戦いの物語。
この二つは人間が自然を切り開く物語なのです。
■まとめ
今回は長くなってしまったのでここまで!
神話というのは知れば知るほど奥が深くて
本当に面白いですよね~。
次回もギルガメシュとスサノオの関係と
神話の意味について綴っていきます。
それではまた!バイバイ!
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