2024年12月3日、韓国にて尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が突如として発令した戒厳令。
この記事を開いてくれたアナタは、主に以下の疑問について「詳しく知りたい」と考えているのでは?
・戒厳令の具体的な内容は?
・尹大統領はなぜ戒厳令を発令したのか?
疑問の答えを簡単に答えるのならば、以下のようになります。
・戒厳令の内容は実質的な独裁
・尹大統領は野党と北朝鮮との戦いの為に戒厳令を発令した
簡単なまとめだけでは情報が足りませんよね。詳細をもっと知りたいという方は是非、最後まで記事を読んでください。
尹大統領の戒厳令発令
【速報】韓国大統領が「非常戒厳」を宣言 具体的な措置は明らかにせず|TBS NEWS DIG より動画引用
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は3日夜、国民に向けた緊急談話を出し、「自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と述べた。
2024年12月3日に尹大統領によって発令された戒厳令でしたが、国会で戒厳令の解除を求める決議案が可決されたことにより、12月4日午前4時半頃に戒厳令は解除されました。
戒厳令の内容を解説
そもそも戒厳令とは何か?簡単に言うと「国家の安全が深刻に脅かされる状況において、政府が特別な措置を講じるためのもの」です。
◆韓国の戒厳令=韓国憲法は第77条で、大統領は、戦時などの国家緊急事態や公共の安寧秩序を維持する必要がある場合に、戒厳令を宣布することができると定めている。戒厳令が宣布された際は、法律が定めるところにより、言論・出版・集会・結社の自由などに関する特別な措置をとることができるとしている。
以下に、尹大統領の発表した戒厳令の具体的な内容を6つまとめました。
全ての政治活動の禁止(国会、地方議会、政党、政治結社、集会、デモなど)。
2.自由民主主義体制の保護
自由民主主義体制の否定や転覆行為、フェイクニュース、世論操作、虚偽扇動の禁止。
3.メディアと出版の管理
メディアと出版の全てが戒厳令によって管理される。
4.社会混乱行為の禁止
社会混乱を助長するストライキ、怠業、集会行為の禁止。
5.医療関係者の復帰義務
医療関係者は48時間以内に本業に復帰しなければならず、違反時は戒厳法により処罰される。
6.一般国民への配慮
善良な一般国民の日常生活における不便を最小化する措置。
戒厳令発令は予想されていた:追記2024年12月4日
前触れもなく発令されたかに思えた尹大統領の戒厳令、実は3か月以上も前に戒厳令発令の噂は世に出ていました。
下に引用した記事は戒厳令発令のちょうど3か月前にあたる、今年の9月3日に掲載された記事です。
事の発端は、野党第1党の「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が9月1日に与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表との党首会談の場で「最近、戒厳令(が発令される)という話が頻繁に出ている」と切り出したことにある。
李代表は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が戒厳令の解除を国会が求めるのを阻止するため戒厳令の宣布と同時に国会議員を逮捕、拘禁することも計画しているとの情報も耳にしている」と、真顔で韓代表に語ったそうだ。
尹大統領が国防・安保関連の人事を交代させた件などが戒厳令発令の予兆か?と警戒されていたようです。
しかしながら、引用した記事内にもあるように「常識的に考えれば極めて可能性は低い」ため大きく取りざたされることはありませんでした。
今となってはまさしく後の祭りですが、野党は当然として、与党も含め尹大統領の動きを捉えることが出来ていればまた違う可能性もあったかもしれません。
尹大統領の戒厳令発令はなぜ?3つの理由
尹大統領が戒厳令を発令した3つの理由について解説します。
前半2つは尹大統領が公式に発言した理由。後半は状況から推測される理由です。
公式の理由
尹大統領が戒厳令を発令した際、公式に発言した理由が以下の2つ。
国政のまひ状態を修正するため
尹大統領は、韓国の現状を「国政のまひ状態」と認識しており、「国政のまひの修正」を戒厳令を発令する理由の一つとしました。
国政のまひは野党が政府高官の弾劾訴追案を提出したり、予算案の削減を求めたりすることを繰り返してるから起きたと指摘しています。
北朝鮮の脅威を排除するため
尹大統領は、「北朝鮮の影響下にある勢力の排除」を戒厳令を発令する理由の一つとしていました。
↓
国政がまひするのは非常に危険であり内乱に繋がる反国家的行為
↓
つまり北朝鮮の影響下にある勢力
↓
戒厳令を発令して排除する
以上のロジックにより、北朝鮮の脅威に対処するための戒厳令発令だと言うわけです。
実際に北朝鮮が関与しているかは不明。現状では尹大統領の発言だけで、証拠はありません。
推測される理由
ここからは尹大統領が公式に発言したわけではないが、状況から推測される戒厳令発令の理由を解説します。
支持率を回復するため
尹政権は支持率が低迷しており、戒厳令の発令は政権の支持率回復を図る手段だった可能性があります。
支持率の低迷は様々な理由が存在しますが、日本でも話題になった件でいえば大統領夫人である金建希(キム・ゴンヒ)氏のスキャンダルが有名です。
金建希(キム・ゴンヒ)氏の主なスキャンダルは以下の通り。
高級バッグ授受疑惑: 韓国系アメリカ人の牧師から高級ブランドバッグを受け取った疑惑
経歴詐称: 過去に経歴を詐称したとの報道あり
与党候補公認に不当介入:尹大統領と金建希氏、両者共に関与したと疑われ、尹大統領と政治ブローカーと思わしき人物の会話録音音声も暴露
上述したスキャンダル等により支持率低下は避けられない状況です。
尹大統領は、野党の横暴を主張し、北朝鮮の関与を示唆することで、戒厳令を発令し、悪に立ち向かう強いリーダーシップをアピールして支持率の回復を図った可能性がありました。
しかし、突如として発令された戒厳令は実質的な独裁化を意味するとも捉えられるため、仮に支持率の回復が理由の一つだったとしても効果的な手段であったかは別の話でしょう。
韓国の戒厳令の歴史
韓国における戒厳令は、1979年の朴正熙大統領事件や1980年の光州事件など、歴史的な危機の際に発令されてきました。
特に1980年の光州事件では、政府が市民の抗議活動を弾圧するために戒厳令を発令し、軍が介入しました。
今回、2024年に尹大統領によって発令された戒厳令は韓国が民主化されて以降初めての戒厳令です。
2024年の戒厳令と過去の戒厳令の違い
・政府と野党の対立が激化し、国政がまひ状態に陥ったことが発令の直接的な要因
・犠牲者が出ていない
■過去の戒厳令
・軍事政権が権力を強化するための手段
・多くの犠牲者が出た